『33度のS公園と、なにもしない男』 | 第一回 赤くなる人は、だいたい先に限界が来る

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赤くなる人は、だいたい先に限界が来る

20xx年8月31日。気温33度。暑い。
S公園の空気は、朝からすでに「ぬるい」を通り越して、
身体にまとわりつくタイプの暑さだった。
それでも私は、いつものようにS公園へ向かった。
運動しない理由を考えるより、
体を動かしたほうが早い年齢になってしまったのだ。

木陰で準備体操を始める。
今日はなぜか、いつもより念入りだった。
暑さのせいか、それとも理由のない予感か。
その隣で、なぜかもう赤い顔をしている人物がいる。


「なー」だ。
「今日も暑いねえ」
そう言いながら太ももを伸ばしているが、
その表情はすでに走り終わった人の顔をしている。
「まだ走ってないよね?」
「うん。でも、なんかもう暑い」
この時点で、私はうっすらと嫌な予感を抱いていた。
ストレッチを終え、
サイクリングロードを200メートルほどウォーキング。後ろ向きに歩いたり、肩を回したりする。
通りすがりの人から見れば、
「朝から元気な人たち」か「少しおかしな人たち」か、
判断が分かれるところだろう。
高架下を越えたところで、ジョギング開始。


足を上げる。いつも通り。いつも以上に。
水門、野球場、サッカーグラウンド。
腰まで伸びた草が、刈られる気配もなく、堂々と揺れている。
「秋、来てる?」 「気配だけはね」
折り返し地点。
私はついスピードを上げる。
なーの呼吸が、後ろで一段階増えた。
「……まって……」
「大丈夫、待つ!」
そう言いながら、待っていない自分に気づいて、少し反省する。
——そしてゴール。


二人とも汗だく。
顔を並べると、見事に赤い。
「今日も走っちゃったなあ」
自分にあきれながら、
私は水でうがいをした。


——この時はまだ、
今日が「走った日」以上の意味を持つとは、思っていなかった。


つづく

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